レッツゴースノーボード

GOOD DAY COMES TO THOSE WHO WAIT

WEB MAGAZINE
>FEATURE①

いい日は寝て待て

雪山の天気は、人間の力ではどうすることもできない。
「果報は寝て待て」というけれど、まさしくいい日は寝て待つしかないのかも。でも段取りを済ませて天気予報に気を張っていれば、心に残るような素敵な一日は必ずやってくる。
そんなセオリーに忠実に、来たるべくして来たライダーと、偶然出くわした旅人も交えての、春の残雪西日セッション!
RIDER  原田将臣 堂前和也 KUNIHIKO MIYANAGA 
PHOTO 堂前和也  原田将臣 

RIGHT TIME ,RIGHT PLACE

春の天気は本当に変わりやすく、週間天気なんてまったく当てにならない。
ここ最近は毎日風が強く、時に激しく雨も降り、抜けるような青空をしばらく見ていない。部屋から見える十勝の山並みも日を追うごとに雪解けが進み、すっかり滅入った気持ちでパソコンに向かう日々を送る僕に、このところ頻繁に連絡をくれるライダーがいた。原田将臣だ。
「ゴールデンウィークが明けたくらいに、よかったら滑りませんか?天気見ながら、また連絡入れますね」
毎日、目まぐるしく変わる天気予報。極端な話、前日にならないと、いや当日になってみないと正確な天気は分からない。でも何となくこの週末は天気が良さそうだ。
すると電話が鳴り
「今日の夜から行っていいですか?」
「もちろん!」
念のため天気予報をチェックすると、明日もあさっても晴れマーク。
さすがマサオミさん。まさしくRIGHT TIME ,RIGHT PLACE。彼はいつもピンポイントで、天気のいい日の前日にやってくる。一流はいい時にいい場所にいるんだね。

春は冬に比べ、太陽の位置も高く日照時間も長い。
そのせいか同じ山でも西寄りの南斜面は、融雪がぐんと進み、雪が一切ないところもある。北側、東側を向いていても、斜度の緩いところはその分太陽をたくさん吸収し、積雪が少なくなっている。
反対に、岩肌に隠れたシュートや深い沢の中は、斜面の向きに関わらず、現実的に滑れる雪の量を有している。
春の心地よい風と、ようやく咲き出した桜に気分をウキウキさせながら、僕とマサオミさんは山の上の駐車場を目指した。

十勝連邦のフィールドは実に広く、標高2000m級の山々が幾つも連なっている。
その山々のどれをとっても、少し歩いて奥に進んだだけで、滑るべき魅力的な斜面が無数に広がっている。ゾクッとするようなハードな面もたくさんある。
このエリアに越してきて1シーズンを過ごしてみたけれど、その圧倒的なスケールに毎回度肝を抜かされている。
ただこの日のような、春の穏やかな一日は、トップシーズンのような緊張感はなく、日も長いので、自由にのんびりとハイクアップを楽しむことが出来る。
リラックスしながら山の麓までドライブし、目標の斜面を決め、いざ準備に取りかかろうとした時、運転席からこちらにお辞儀をする一台の車が現れた。

ピンポイントで現れた若き旅人

4月の終わりにニセコに遊びにいったとき、BBQの場で一人の青年と知り合った。
名前はクニ。東京出身の大学生で、冬の間は妙高エリアで活動しているスノーボーダーだ。聞けば北海道を一ヶ月かけて旅しているらしく、気さくで礼儀正しく、限られた時間だったが同じ時間を共有し、会話を楽しんだ。
そのクニが、駐車場で準備をしているその一瞬のタイミングでやってきた。
「何してるの?」
「いや青い池が見たくて、そのついでに山も見たくて来てみました」
もう5分遅かったら僕たちはいなかった。
これも何かの縁。旅は道連れ世は何とやら。
彼の滑りは見たこと無いが、聞けば装備は一式持っているというので、「ハイクが遅いから」と遠慮するクニを説得し、急遽一緒に登るメンバーに加えることになった。

こうしてメンツがそろい、文句の無い青空のもと、日曜日の観光客であふれる駐車場を抜け出し、僕らは山の上部を目指した。

CAST RIDERS

原田将臣
道東で波乗りを終えた後、200kmドライブしてやってきた、どん欲なライダー。

堂前和也
活動ベースを上富良野に移し、雪山&PCと日々向き合う。

クニ(KUNIHIKO MIYANAGA)
妙高エリアをベースに滑る若き22歳。北海道旅行を満喫中に駐車場でバッタリ。

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