バックカントリーの魅力と危険性
そもそもバックカントリーとは?
バックカントリースノーボードとは人工的に整備されたスキー場ではなく、自然そのままの雪山を滑ることを指します。 スキー場の山頂やコース脇の斜面を、パトロール管理区域外を越えて滑走すること、いわゆるサイドカントリーも立派なバックカントリーの一種です。 ここではまず始めの一歩として、バックカントリーの何が魅力的か、何が怖いのかをご紹介します。
バックカントリーの魅力、楽しさ
①ハイクアップで登頂した時の達成感
リフトのない雪山をふもとから登り、山頂にたどり着いた時は純粋に何とも言えない達成感があります。ハイクアップの途中で見える景色も日常では見られない絶景で、空気が澄んでいて、まだ滑っていないのに何とも言えない喜びが湧いてくるはずです。
②思わず絶叫しちゃうほどのパウダーを滑れる
1月2月のトップシーズンには、驚くほど良質なパウダースノーを、周りに誰もいない状態で思う存分楽しむことができます。「この一本のために登った甲斐があった!」広大で新雪の乗ったスロープを滑り降りる疾走感は、スキー場しか滑ったことのない人にとっては、全く新しい感覚と感動を覚えるに違いありません。また標高の高い山では3月4月になってもまだまだパウダーが残っていることもあります。
③雪山本来の地形を楽しめる
雪山は実に様々な自然地形を有しています。まるでハーフパイプのような、半円状の沢地形が延々と続いていたり、地形の凹凸で飛べる場所があったり、立木に雪が乗ってマッシュルームのような形のジャンプアイテムがあったり、折れた木に雪がついてハンドレールのように遊べるアイテムがあったり・・。滑り手の技術と想像力次第では、まるでスロープスタイルのコースのように滑り降りてくることだってできるのです。「手つかずの斜面をクリエイティブに遊びながら滑り降りる」これは国内外のトッププロ達も実践している、ある意味究極のスノーボーディングとも呼べるかもしれません。
バックカントリーの危険なところ
※下記のうち、もっと掘り下げていくべき項目が中にはありますが、まずはどんな危険があるのかをザッとご紹介します。
①遭難する可能性がある
「登り始めてすぐは雲一つない晴天だったのに、午後から天気が崩れて何も見えない。」なんてことはよくあります。山の天気は変わりやすく、高い山には雲がどんどん引っかかります。視界が何も見えないのは本当に恐ろしいです。さっきまで見えていた目的地が見えなくなると、途端に方向感覚を失います。地図、コンパス、高度計もしくはGPSを正しく使用できる必要がある他、常に天候に気を配ってハイクアップし、荒天時には潔く引き返すことも大切です。
②雪崩に巻き込まれることがある
バックカントリーでもっとも怖いのが雪崩です。吹雪時の風下の斜面は雪崩が起きやすく、あっという間に規模を拡大させて沢筋を雪崩れます。斜面についた雪すべてが雪崩れる全層雪崩に巻き込まれたら命がいくらあっても足りません。雪崩捜索に必要なビーコン、プローブ、ショベルは必ず携行するほか、各地で行われている雪崩講習会に参加するなど、個人個人で雪崩のリスクを回避する術を学んでいくことが必要不可欠です。
③上手く滑れず怪我をする
雪山は天気によって刻々とその姿を変えます。昨日まで面ツルの腰パウだった斜面が一夜にしてガリガリの危険なスロープに変わることもあります。またバックカントリーでは圧雪車で整備などされているはずもなく、うまくボードコントロールができないと、立ち木や岩に衝突したり、崖から落ちたりする危険があります。ここで最も気に留めておくべきことは、万が一怪我をしても、パトロールや救援はすぐにこれないということ。怪我をして下まで自力で降りられなくなったら、一緒にのぼっている友達が担いで下山することになります。自分が怪我しても、仲間が怪我しても、スキー場のような対応が困難であることを肝に銘じおく必要があります。
④最悪死に至る
滅多にないことなのかもしれません。そんなことばっかり考えていたら登る気が失せてしまうかもしれませんが、バックカントリーで命を落とす人は毎年必ずいるのです。
雪崩に巻き込まれる。クレパスやクラックに落ちる。遭難して凍死。雪に埋もれて窒息死。滑落して数十m下で遺体で発見。残念ながら毎年そのようなニュースが頻繁に流れています。なめてかかると本当に死んでしまいます。バックカントリーでの最高の一本を求めるなら、同時にこうした事故に対するリスクマネジメントをしつこいほど行っておくことが絶対に必要です。