パウダー、バックカントリーでやってはいけない危険行為まとめ
不慮の事故に巻き込まれないために
パウダーやバックカントリーでは、やってはいけない危険なタブー行為がたくさんあり、雪のコンディションや天候によっては重大な事故を引き起こす恐れがあります。ここでは出来れば避けておきたい危険行為あれこれをご紹介します。
パウダー&BCでの危険行為
①沢筋に立ち止まる
スノーボーダーにとって沢の中は、疾走感や3Dの感覚を味わえる絶好の遊び場ですが、雪崩もまた沢の中をものすごい勢いで通過していきます。
斜面上部で雪崩れた雪は、スピードを増して、時に信じられない距離を流れていくそうです。
沢のボトムでは極力立ち止まらず、常に安全な場所がどこなのかを意識しておくことが、雪崩に巻き込まれるのを避ける大前提になります。また、春先やシーズン始めの雪の少ないときに、沢のボトムを不注意に歩くとズボッと川に落ちますので注意が必要です。
②斜面上部をトラバースする(横切る)
フォールラインに背いて斜面上部を不必要に横切る(トラバースする)と、時に雪崩を誘発して巻き込まれるばかりでなく、もし斜面下部に人がいたらその人達の命を脅かすことになります。実際に北海道のとあるスキー場脇でかつて、山の上部にいた人が雪面を切ってしまい、下にいたスノーシューヤーが雪崩に巻き込まれ、命を落としてしまった、という悲劇も起きています。「自分ではなく他人の命を奪ってしまう」そういう意識を持って、無駄に斜面上部を横切るのは控えましょう。
③尾根の上で雪屁の上を歩く&滑る
尾根とは、谷と谷に挟まれた山地の一番高い部分の連なりのことで、稜線(りょうせん)とも言います。
尾根に向けて一方向からの風雪が続くと、風下方向に雪の固まりが出来ます。これが雪屁(セッピ)です。雪屁はシーズンを通して成長し、風下斜面に向けて巨大化していきます。雪屁は宙ぶらりんの状態でせり出していて、その根元はボーリング玉のように固い雪の塊になっていきます。尾根の上を歩いたり滑ったりする際、雪庇の真上にいる事に気づかず踏み抜いてしまうと、硬いデブリとともに斜面に落ちていき、とんでもないことになってしまいます。よくスノーボードムービーで雪屁から勇ましく飛んで行くシーンを見かけますが、それはそれでリスペクトしつつも、できれば雪屁は危険なものと認識して、尾根の上は注意深く通過するようにしましょう。
④グループ全員で一斉に滑り降りる
スキー場内のちょっとしたパウダースポットならまだしも、特にバックカントリーエリアで滑る場合は、必ず一人ずつ順番に滑り降り、周りの人は滑っている人を注意深く見守っておくことが、安全にパウダーを楽しむ上で絶対的なルールとなります。仮にパーティー全員で一斉に滑り降り、全員が雪崩に巻き込まれてしまったら、助けてくれる人は誰もいなくなってしまいます。一人はみんなのためにみんなは一人のために、楽しみながらも気を引き締めて仲間の動向をチェックしておくことが大切です。
⑤他人のラインにむやみについていく
これはスキー場のサイドカントリーでよくやってしまいがちな罠です。「よく分からんけど、何か雪よさそうだし、人のラインもついているし、行ってみよう」とコース外に出た結果、帰り道をロストした、というのはよく聞く話です。誰かのつけたラインほど当てにならないものはありません。よく分からないトラックに惑わされずに、しっかりと自主的にルートを確認して滑ることが、勉強にも経験にもなると思います。混雑しているスキー場ほど人のラインは当てになりません。
⑥不必要に横滑りする
パウダーを優雅に、安全に滑るためにはカービングターンをしっかりと行い、スピードを維持して雪面を滑ること、プラス、そのスピードをしっかりコントロールすることが大切です。カービングターンとパウダーランはとても似ています。
「直滑降してスピードをつけ、ノーズを上げてウイリー」だと、パウダーでは上手くスピードを制御できずに、仕方なく横滑りして、雪しぶきで前が見えない、なんてことになってしまいます。もちろん自分の技術以上に斜面が急で、怖くて、やむを得ず横滑りすることもあるでしょうが、できればパウダーではカービングターンをし、Sの字状のラインをつけて滑り降りてくることが大切です。最良のパウダーdayにいい滑りをするためには、日頃からの圧雪コースでのカービングターンの練習に尽きると当サイトは思います。
⑦吹雪、強風時、またはその直後に無理に滑る
雪崩は吹雪、強風時もしくはその直後に、風下の斜面で多く発生しています。吹雪いているときはもちろん雪質もいいですが、特に風が強いときは本当に注意が必要です。「今日しか滑れる日がないから」と、自分の都合だけでパウダースポットに出向くことは非常に危険です。勇気を持って潔く滑ることを辞めるのも、安全なパウダーライフのためにはとっても大切です。
⑧午後もしくは天候悪化時に遠出する
雪のいい12月〜2月のハイシーズンは、日照時間も短くあっという間に日が暮れてしまいます。特にハイクアップをしてバックカントリーに向かうときは、目的の場所まで何時間かかるのかを頭に入れ、時間をチェックしながら登ることが大事です。時間は意外とあっという間に流れていきます。天候が悪化して視界不良になる場合もあります。また、日没を過ぎると辺りは瞬く間に暗くなり、気温もグッと下がり、本当に怖いです。特に午後からどこかのスポットに出かける際は、あまり遠出はせず、時間を意識して、念のためヘッドライトも携行しておくことをお勧めします。何も見えないと本当に怖いです。
⑨自分の実力を過信する
もしかしたらこれが一番怖いのかもしれません。「いつも行ってる場所だから」「この間も来たポイントだから」と自分の判断力に先入観が入り過ぎたり、「これくらいだったら何とかなるでしょ」と自分の実力を過信して謙虚さを失ったりした結果、とんでもない苦労や失敗をしてしまった・・ということがサイト制作者も多々ありました。「午前中雪がよくても、午後に行ったらカッチコチ」 「昨日は面ツルでも、今日はクラックができてる」雪山は美しくも刻一刻とそのコンディションを変えていきます。無謀な判断力や行動は時に最悪の状況を招きます。楽しみながらも常にアンテナを張り巡らせ、冷静でいること。自然の恩恵を受けながら遊ばせてもらっている以上、自分の能力は過信せず謙虚に山と向き合うことが、パウダーを楽しむために最も大切なのかもしれません。