パウダー、バックカントリー初心者が知っておくべき心得
安全に楽しむための基本事項を知っておこう
「世は空前のパウダーブームの再来」だそうですが、楽しさの反面、基本的な心得を知らなければ雪山で最悪命を落としてしまう可能性もあります。ここでは魅惑のパウダーDAYを安全に楽しむための注意事項をご紹介します。
パウダーでの基本的な注意事項&心得
①かっこ悪くても安全に下まで滑り降りることが大切。
これに尽きます。ゲレンデでパークを滑る時などは、周囲の人やリフトの人にアピールしようと多少カッコつけて滑ることでしょう。「自分のスタイルを魅せてやる」と、多少の転倒を覚悟で自分をプッシュするのもスノーボードの醍醐味の一つです。ただ、スキー場とは違うバックカントリーエリアでは、転んでもしものことがあっても、パトロールは来てくれないし、一緒にいる仲間でさえも転んだ場所に行くのは至難の業です。まずは自分の能力を過信せずに安全に仲間のもとまで滑り降りることを考え、経験を積んで慣れてきてから、ジャンプやトリックを自分のキャパシティの範囲内で繰り出すことが、パウダーを安全に滑る際の大前提となります。
②フォールラインを滑る
フォールライン(FALL LINE)とは最大傾斜線のことで、山の斜面を谷底に向かって真下に向かう線のこと、または水が流れ落ちる方向のことを指します。分かりやすくいうと、これから滑る斜面に向かってボールを転がしたときに転がっていくラインのことで、自然、重力の法則の理にかなったラインのことです。バックカントリーでパウダーを滑るときはこのフォールラインに沿って滑り降りてくることが安全面でとても大切になります。もちろん地形を見ながら臨機応変に滑る「アドリブ」も必要ですが、フォールラインに背いて斜面上部を無理に横切る(トラバースする)と、雪面に余計なプレッシャーをかけてしまい最悪雪崩を引き起こしてしまいます。
③サイドカントリーも立派なバックカントリー
近年「サイドカントリー」という楽しみ方が脚光を浴びています。 サイドカントリーとは「スキー場のコースサイドで楽しめるバックカントリースポット」のことで、おそらく造語です。「ゲレンデのリフトを使い簡単にアクセスできて、手軽にパウダーを楽しむことが出来る」ということは、同時に危険な場所へも簡単に行けてしまうということを意味します。スキー場の管理区域を越えたサイドカントリーエリアでもし何かあっても、コース内のように迅速な救助活動は困難で、膨大な救助費用もかかります。「アクセスが楽」という以外は、バックカントリーエリアと何ら変わりがありません。必要最低限の装備は必ず携行し、ロープが張ってある先には決して行かないようにしましょう。パトロールにメチャクチャ怒られるし、何よりロープを張っているのにはしっかりとした意味があります。毎年多くの方がスキー場の脇で亡くなられていることを忘れずに!
④天気予報をマメにチェックする習慣をつける
パウダーの雪質は一つではないし、山の天気はとても変わりやすいです。どんな小さいことでも好奇心を持ってマメにチェックする習慣をつけておくことで、パウダーでの滑りがかなり変わってきます。最近の天気、これからの天気、風向き、風の強さ、気温、滑る斜面の向き・・・。とにかくチェックすることが大切です。「自分は結構滑れるから、パウダーでも大丈夫」と天気予報に無関心だと、えらい目にあってしまいます。自分の滑りのスキルだけでバックカントリーに挑むのではなく、チェックした天気状況から雪質や雪のいい場所をイメージしておくことで、安全かつ、より良い雪質でのパウダーライドが楽しめるはずです。
⑤そこに住んでいるローカルの話に耳を傾ける
パウダーを安全にたしなむ上で間違いないのが、その土地に住むローカルライダーと仲良くなり、リスペクトし、話に真摯に耳を傾けることです。地元の人はいつ雪が降ったか、気温はどれくらいだったか、風は強かったか弱かったか、を普段の生活の中で肌で感じています。特に都心部から山へパウダーを滑りに行く場合、どんなに天気予報に気を配っても(非常に大事ですが)、ふもとに住んでいる人には敵いません。地元の人と仲良くなって一緒に滑ってもらう。ある意味これが一番手っ取り早いのかもしれません。もしくは、現地のパウダーガイドにツアーに連れていってもらう。はじめのうちは自分の実力、人間力は過信せず、誰かに連れて行ってもらいながら、できればホームマウンテンを決めて、パウダーを楽しみながらじっくりと学んで行く。その積み重ねが来るべき最良の一日に出会える最も効果的な方法なのかもしれません。
※パウダー&バックカントリーで注意すべきことや心得はまだまだたくさんあります。当サイトでもその都度ご紹介させていただきますが、みなさんも色々なアプローチで、安全にパウダーライドを楽しむ方法を模索していただければ幸いです。