不気味な森の中を脱出して、雪がなくなる場所直前の、 泣いても笑っても本当にラストのオープンスペース。鉄平くんは最後の最後までバンクを見つけては当て込み、6月のスノーボーディングをどん欲に楽しみます。
スノーボードの出番は終わった!
近年稀に見る6月の残雪フリーライド。6人と2匹で駆け抜けた雪上も、いよいよこれでおしまい。ということは・・いよいよこれで今シーズンのスノーボードも終了?なんてセンチメンタルな気分になっている暇はなく、ここからが進化の問われるところ。なぜなら、あらかじめデポした車は、まだまだ遥か下の方にある。遠すぎる麓。とりあえず、まずはぐちゃぐちゃの泥の上をしぶしぶと歩きます。
後ろを振り返るとさっき滑った場所が見える。生い茂る新緑の間の、頼りなく雪の残る汚れたバーン。 そんな斜面でも、来年までここを滑れないと思うと、何だか寂しく哀愁込み上げてくる。今シーズンも楽しいひとときをありがとう!
本セッションの最もハードな斜面に突入!
ここからは乗り物をスケートボードにチェンジして、デポした車の待つ場所まで下ります。完全なる未知の領域。幅の狭い道、急斜、荒れた舗道。このセッションで最も難しいゾーンに突入です。
スノーボードを背負ったままダウンヒル。板を横につけても縦につけても、ターンのときに相当の遠心力が加わる。さらに一行は、強気にスノーボードブーツで挑んでいる。もちろんシューレースはやや緩めに締め直した方が、足下の自由がより効くようになる。
そして最も注意しなければならないこと。それは背負っているボードの、テールの存在を忘れないこと。できれば重心を低くして板に加重したい!でもやりすぎると「ガリッ」とコンクリートに擦れた、絶望的な音が背後から聞こえてくる。。
テッペイくんは、進行方向を凝視しながらも、背負ったボードのテールぎりぎりまで腰を屈めてターンしている。乗っている間は、地面からの高さが完全に見えないので、心の目と体との一体感が必要。
とにかく道が狭くて急!いくらボードに加重してスピードを押さえつけようとしても、スピードはグングン加速していく一行は身の危険を感じるとボードから飛び降り苦笑い。
先頭をいくライダー達もこまめに止まり、後続の様子を見守る。皆笑顔でわいわいやっているものの、冷静に考えると、とんでもないクラッシュと常に隣り合わせにいる。シーズン終盤でもひたむきに己を高めるライダー達。車までは後少し!
「やってやった!」
さっきまでの緊張感がうそのような、下界の平和な風景。周りには雪なんてひとつもない。楽しくも、身の危険を随所に感じながら駆け抜けた緊張感から解放され、ようやく現れた西日に安堵感を漂わせる。
夕飯をみんなで食べた後、駐車場でテッペイくんが発した一言
「やってやった!」
常に冷静で経験値の高いテッペイ先輩が、本当に何かしんどいことをやり遂げたとき、彼がこの言葉を発するのを僕は知っている。
「やってやったっすね!」
思いがけずもスーパーハードセッションになったシーズンラスデイ。やれることはやったし楽しんだ。まさしく「やってやった」のナイスアドベンチャーでした!