パウダーを上手くすべるには②
雪質に合わせたターンを心掛けよう
時にパウダーを疑いながらターンする
パウダーランで転んでしまう原因の多くは、雪質や地形の読みが上手くできずに、間違ったボード操作をしてしまうことにあります。パウダースノーの状態をしっかり把握し、雪質に合わせた的確な滑り方が必要です。ここでは雪質に合わせたターンの一例を、実際の例を挙げながらご紹介します。
柔らかいと思って踏みこんだら「ガリガリッ」!?
注意して滑らなければいけない代表的なパウダーのコンディションとして、「底づきパウダー」が挙げられます。例えばハイシーズンにしばらく雪が降らずに晴天が続くと、雪面は「日中に融けて緩み、夜に冷えて固まる」を繰り返し、やがてアイスバーンに似た硬い雪質に変わります。この雪面に雪が少しでも積もると見た目はバフバフの面ツルパウダーに見えますが、 降雪が少なければ、ターンして板を踏み込んだときに、降雪前の硬い雪の部分にボードが底付いてしまいます。このときもしもスピードがついていたら、ボードを抑制するのが非常に困難になり、板をストップさせることすら難しくなります。たちが悪いのは、滑り出すときに斜面を見ると良さそうなパウダーに見えてしまうことで、ターン時に初めて底付きの存在に気付くということです。
降雪が少なければ少ない程、踏みこんだときに板がすっぽ抜ける確率が高くなり非常に危険です。
雪深い日のターン
DEEP HEELSIDE POWTURN
RIDER:OSAMU USAMI
※スライド写真を一枚ずつ見るにはこちら
雪深いときは踏んでもなかなか踏み込めない
ではこの「底付きパウダー」にはどう対応するべきか。その前にまずは、底付きの心配がなく、むしろ深すぎる日のターンを見てみます。上記のスライド写真で滑り手のOSAMU USAMI氏は、ターン前半で上半身の先行動作を入れながら、後半にかけて大胆にボードを踏み込みターンをしています。この日のようなサラサラの雪が深く積もった日は、板を踏んでもなかなか「踏み込む」までは行かず、これはこれで難しいコンディションですが、雪の中に硬い部分はないので底付きの心配はありません。
底付きの恐れがある日のターン
踏み込みたい気持ちを抑えた大人パウターン
※スライド写真を一枚ずつ見るにはこちら
滑る前に硬い雪の存在を察知することが大切
こちらのヒールサイドターンも滑り手は同じくOSAMU君ですが、前でのターンとはどうやら様子が少し違います。
そう、この日は魅惑のパウダースノーの下に、場所によっては硬い雪が潜んでいる「底付き注意報」が出ている日でした。この時OSAMU君は、パウダースプレーを上げる直前に「もしかしたら雪面の底が硬いかも」と察知し、ヒールサイドターンで少し上半身の力を抜いてボードを踏み込んだんだそう。
全開で豪快に踏み込む気持ちを少し抑えた、クイックでスマートなパウダーターンです。
同じターンでも力の入れ方や体のあずけ方を変えることで、、雪質に合わせた的確なターンが可能になりますが、最も大切なのは、滑り出す前に雪の状態をいち早く察知すること。当日までの天気予報と斜面の状況に注意を払っておけば、「今日は底付きパウダーだな」と何となく予測できますが、もしも滑り出してから底付きの存在を察知したら、スピードを出したり大胆にターンすることは控え、ゆっくり慎重にすべり降りると良いですし、あまりにも新雪パウダーが薄い場合は非常に危険なので、潔く撤退するのも安全にパウダーと向き合うためには大切です。
OSAMU USAMI
北海道出身
レギュラースタンス
※何と今から20年以上前に、USトランスワールド誌でカバー写真をゲットした伝説のJAPANESEライダー