レッツゴースノーボード

GOOD DAY COMES TO THOSE WHO WAIT②
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穏やかな日曜日、おのおの楽しむ登山客

僕たちがハイクアップを始めたのは少し遅めの午後1時過ぎ。
この日の最高気温は24°Cと最近では高く、たぶん日中は雪がネバネバして板があまり走らなそうだ。だからスタートをやや遅くずらして、西日の涼しい時間帯を狙うことにした。
ここ最近は、6時半まで明るい。1時から登り、ハイクアップに3時間、遅くて4時間とったとしても、5時にはドロップできる。夕方5時なら太陽が落ちる間際の、西日の美しい光の下で、シャリッとした爽快なクルージングが出来るんじゃないだろうか。
何にせよ日は長く、雲一つない青空。焦ることはない。
予期せぬ旅人クニとの会話を弾ませながら、ゆっくりのんびり上を目指す。


斜面を登るその横で、ちょうど下山してくる人たちの姿を多く見かけた。
たぶん午前中から登りお昼を山頂で過ごした後、滑り降りて来たのだろう。
久しぶりのピーカン。澄み切ったブルースカイ。今日は日曜日。
多くの人が、この広大なフィールドで、思い思いに楽しんでいる。
子供とソリ遊びを楽しむ人。犬と一緒に滑るテレマーカー。なぜか小型のパラシュートをつけて降りてくたスキーヤー(飛ぶのか?飛んだら危なくないか?)
何せ今日は日曜日。晴天。無風。広い山。
それぞれがそれぞれ楽しむのを横目に、気分はさらに和み、とにかく上を目指す。


クニという若者

駐車場でクニにバッタリ出会ったとき、「いやー俺めっちゃハイク遅いから迷惑かけちゃいますよ」と始めは遠慮していた。「大丈夫大丈夫!置いていくから」なんて冗談まじりに彼をたしなめつつもメンバーに加えたのだが、実際一緒に登ってみると特に遅いとは感じなかった。クニはまだ22歳。人知れず気合いを入れていたのか、もともと若さと体力があるのか。ただ途中で何度も「水飲んでいいいですか?」と止まり、休憩中も2リットルのペットボトルを手に、背中には大量の汗がこびりついていた。

クニに会うのはまだ2度目。マサオミさんに関しては初対面。クニというスノーボーダーを知るのは、ハイク中の暇つぶしにはもってこいだ。
普段はどこで、誰と滑っているのか。好きなブランドは、ライダーは誰を知っているか。ありきたりな質問を投げ、共通の人物を捜そうとする。
「SMOKIN SNOWBOARDのライダーと仲がいい」
「マサか?(杉田正憲)」
「違います」

「天神平でTWELVEの人に世話になった」
「ノブか?(大信雄一)」
「違います」
クニはまだ22歳。30を越える僕たちとの共通の人物はなかなかでてこない。
ただ、GREEN CLOTHINGやREPLANT、OUTFLOWなど、長野のイケてる方達や、ニセコではPOWDER COMPANYの方達と親交が深く、共通の友達もちらほら出て来て、滑る前にして、クニが多分いい滑りをするんだろうと、何となく感じた。

スノーボードは本当に素晴らしい。
いつもそう思うのは、同じ乗り物で遊んでいる、ただその一点だけでいとも簡単に仲良くなれ、友達の輪が輪を呼ぶ。自分と違う世代、環境、職業は、己の知見や、様々な価値観を広げてくれる。
まだハイクアップを数時間共にしただけなのに、クニはもうすでに、昔から知っているような存在になっている。

火山群が織りなす荘厳な地形

たわいのない話に花を咲かせながらも、気がつくと斜面の勾配はきつくなり、いよいよ山の上部に差し掛かって来た。
ここへは冬に何度か来たことがあるが、2m近く融雪が進んだ今の景色は、その時と同じ場所とは思えないほど様子が違っていた。
もともとこのあたりは、幾つもの火口が点在する火山群の一角。
山頂付近には5つ6つの火口があり、そのうちの数カ所からはいまだ不気味な煙が上がっている。決して吸ってはいけない有毒ガスも存在する。
十勝岳は近年、30〜40年に一度の周期で噴火活動を起こしており、最も最近の噴火は1989年のこと。場所は僕らがいる、そのすぐ近くだ。
山頂付近一帯は、長い噴火活動の歴史の中で生まれた岩石が、様々な様相で広がっており、何とも独特で荘厳な景色を醸し出している。

とにもかくにも、滑るべきドロップポイントまで登頂。時計に目をやると、ちょうど5時。思いのほか時間がかかったものの、太陽はちょうど西日のいい光をつけはじめている。富良野盆地の奥の空に見える、柔らかなグラデュエーション。マサオミさんはバッグの中からサッポロクラシックをサッと取り出して、至福のひとときを過ごす。付近から見える雄大な景色を眺め、登頂の感傷にひたりながら、すぐにはドロップ場所へ移動せず、ここから約一時間、たわいもない会話を続ける。
6時前。西日はさらに傾き、強く、優しく斜面を照らし出したところで、いよいよ待望のスノーボーディングのスタート!

CAST RIDERS

原田将臣
道東で波乗りを終えた後、200kmドライブしてやってきた、どん欲なライダー。

堂前和也
活動ベースを上富良野に移し、雪山&PCと日々向き合う。

クニ(KUNIHIKO MIYANAGA)
妙高エリアをベースに滑る若き22歳。北海道旅行を満喫中に駐車場でバッタリ。

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