ツインチップボードでフリーランもしたい。
そのために考えておくべきこと。
ツインチップでフリーラン、何が障壁か?
「俺は絶対ツインチップ!これだけは譲れない!」
レギュラーもスイッチも自由自在。キッカーもジブも、どっちがメインのスタンスか分からないくらい、両方向から巧みにトリックを繰り出していく。
フリースタイル・スノーボードを追求していく上でツインチップボードは欠かせない、間違えのない選択肢でしょう。
「でもフリーランもガンガンいきたい!」
分かります。フリースタイルボードに乗って、フリーライディングもぶち切れた滑りをしていたら、本当にかっこいいです。
ただ一般的には、ディレクショナルボードの方がフリーランやターン、パウダーに適しているとされています。それはなぜでしょう。
そもそもツインチップでフリーランするときに、どこに障壁が出てくるのでしょうか?
その最たる障壁は、
「ターンでノーズが食いやすい」ことだと思います。
ノーズが食うとはどういう状態をさすか?
要するに
「ノーズが詰まって体が前のめりになる」ということです。
例えばスピードを出して弧の深いターンをするとき、ノーズが食うと重心が前に行き過ぎて、バランスを崩して転倒にも繋がり、パウダーターンではノーズが刺さって雪に埋もれてしまいます。
フリーランする上でノーズが短いのは何かと不都合が生じてきます。
フリーランでも快適に滑るためには?
「とはいえツインチップボードという選択肢は外せない。」
分かります。では安定したフリーランも両立させるために、どんなツインチップボードを選ぶべきか?またはどんな点を意識するべきか?この欲張りなニーズに応える方法は実は結構あります。
①少し長めのツインチップボードに乗る
これは筆者も実践し、先輩ライダーも行っている一つの方法です。
今まで153cmの板に乗っていたのなら、長さを155cmや158cmといった、同じモデルの1サイズか2サイズ上のモデルに乗るのです。
これはとても単純なことで、全長が長くなればノーズも長くなります。もちろんテールも長くなりますがフリーランの安定感はより高まるはずです。
逆を言えばジャンプトリックやジブトリックをする時は、全長が長い分、当然スイングウェイトも大きくなります。スイングウェイトとは板のスイングさせたとき(左右方向へ回転させたとき)の、取り回しやすさの度合いです。
要するに153cmの板で720する時と158cmの板で720する時では、158cmの板の方が回すのにやや力がいるということです。
スピントリックの成度が高まれば、少し長くてもそこまでの支障がないと個人的には思います。
ただ、レールやボックスでのトリックも踏まえて、ボードを長くするのが嫌であればこの方法は適さないかもしれません。
②ウエスト幅が太いボードに乗る
同じ長さの板でもウエスト幅の細いもの、太いものがあります。
①のように、全長が長くなると相対的にウエスト幅も太くなります。
ウエストが太いということは、ターンで体をもっと倒せるということです。
ただ太いだけでなく、サイドカーブ半径が大きいものの方がターンの個も鋭くなります。長さを変えたくない方は比較的ウエスト幅の太いものをチョイスすることで、ターンでの安定感が増すでしょう。
②ダブルキャンバーやロッカーボードに乗る
ボードを長くするのが嫌ならば操作性と浮力に優れたキャンバー形状の板、例えばダブルキャンバーボードに乗るのがオススメです。
ダブルキャンバーボードは全体的な形状はロッカー形状なので、ターンのきっかけを掴みやすく、さらには両足についた2つのキャンバーが、板への加重、抜重をしやすくするので、経験上ツインチップでも比較的安定したフリーランができます。ただしスタンダードなディレクショナルボードとは若干乗り方が異なります。
ロッカーボードの場合、マーヴィン社のマグナトラクションやNITROのパワーパッドのような、エッジが噛みやすく細工されているようなボードは高速ターンや深いターンの時、荒れたバーンでもエッジがズレにくいのでオススメです。
④フリーライドを意識して開発されたフリースタイルボードに乗る。
例えばNITROが昨シーズンよりリリースしたモデル「UBERSPOON」はキャッチコピーを「オールマウンテンフリースタイルボード」と銘打って、形状はツインチップのままノーズもテールも同等にシェイプを尖らせ、ノーズ幅もテール幅も太く設定しています。たとえパウダーでもレギュラー、フェイキーに関わらず同じ乗り味ができ、パークでもその威力を発揮しています。※先シーズン試乗レポートはこちら
またHOLIDAY SNOWBOARDの来期モデル「DUDE TWIN」も形状はツインチップでありながら、ウエストをやや太くしノーズ長、テール長も長めに設計してターンの安定性を向上させています。「DUDE TWIN」はキャンバー構造ですが、キャンバーの両端部分にフラットゾーンを作り、ターン時の急激な進入を防ぐように配慮されています
。また、ノーズとテールにグラスファイバーを斜めに入れることで、板の余計なばたつきも抑えています。
冒頭の写真でCHORISが乗っているMOSS SNOWBOARDの「Q2」はかの廣田鉄平氏が設計したモデルで、こちらもまたやや太く、サイドカーブ半径も大きく、ランニングレングスを短めに設定し、フリーライディング中にスケートライクな動きができるように、ソールの前後方向、エッジ方向それぞれに2mmテーパードさせ、よりルースな感覚を雪上で味わえるようになっています。
他にも各ボードメーカーこぞってフリーランにも適したフリースタイルモデルをリリースしていると思うので、夏に発売されるカタログ号を参考に、フリーランしやすいツインチップボードを探してみるといいと思います。