プロライダーはどうやって板を選んでる?
③鈴木裕司(NITRO)の場合
当サイトと親交の深いライダーさん達の、ボードの選び方をご紹介するシリーズ第三弾。
今回は、新潟は南魚沼が生んだスタイルマスター、鈴木裕司くん(nitro)にお話を聞きました。
ユウジはNITROのインターナショナル・ライダーとしても名を連ねる、屈指の実力派ライダー。とにかく何をしててもスタイリッシュ!ジャンプはもちろんジビングや、ゲレンデで遊ぶちょっとした動きでさえ、いつ見ても本当にかっこいいです。
4シーズン前に膝を怪我してから、滑りのスタイルや選ぶボードが少しずつ変わってきたと話すユウジ。
一体来期のボードはどのようにしてチョイスしたのでしょうか
世界も認めているライダーが選んだボードは??
20代前半はハーフパイプの大会に奔走し、プロ昇格後は国内の名だたるビデオプロダクションにて、そのスタイリッシュなフッテージを量産してきたユウジ。
中でも地元・南魚沼のライダーが集結するプロダクション「HOTDOGG FILMS」の作品ではメインライダーとして、毎年洗練された個人パートを残してきました。
海外のシューティングにも積極的に参加し、カナダのムービーにも映像が使われたり、 NITROのインターナショナルライダーとしても名を連ねたりするなど、その滑りは世界に認められている本物のスノーボーダーです。
愛する息子とともに雪国新潟で、メローなスノーボードライフを送るユウジは、来期にどんなボードを選んだのでしょうか?
チョイスした2本のツインチップボード。
ユウジの身長は169センチ。体重65キロ。
彼がチョイスした来期ボードは2本ありました。
①ニューテクノロジーが満載のコラボモデル
【NITRO LOVE152】
「新しく出た機能は使ってみたくなるんですよ」と話すユウジが今回、真っ先に飛びついたのがNITROのLOVEというツインチップのモデル。
厳密に言うとLOVEは、NITROのLOVEというモデルではなく、オーストリアのスノーボードブランドLOVEとのコラボモデルです。
LOVEはNITROの新技術「FLAT OUT ROCKER構造」(全体はフラットで、ノーズとテールが若干反っている)を採用し、エッジにPOWER PODという細工(いわゆるマーヴィン社のマグネトラクションのような、細かいギザギザ)を施すなど、ユウジの好む新機能が満載です。
「グラフィックがカッコよくて選んだってのもある。
152センチと短く、レール向きのイメージだけど、思ったより調子がいい。クセが無くて、案外頼れる」
とユウジ。
FLAT OUT ROCKERがレールやグラトリなど細かい動きを容易にする一方で、POWER PODがエッジを掛けた時のグリップ力を高めた結果、LOVEはジビングに特化したモデルでありながら、ユウジの言う「頼れる」ボードに仕上がったのでしょう。。
②「去年よかったから今年も選んだ」一本
【NITRO UBERSPOON153】
LOVEの他に、ユウジが選んだのが去年と同様の「UBERSPOON153」。
テールもノーズも尖ったシェイプをしたユニークな形状のUBERSPOONは、キャンバー構造に摩訶不思議な台形型の「ROOF CHOPキャンバー」を採用。
パウダーからパークまで、どんな場所でもフリースタイルに滑れるオールマウンテン・ツインチップボードです。
「去年乗って調子よかったから今年も選んだ。板の形もカッコいい」
ユウジはこの板をセットバック全開にして滑っているんだそう。ちなみにユウジはどんな板を乗る時でも、ノーズがテールより長くないと気持ち悪いそうで、たとえツインチップでもセットバックは必ず入れるとのこと。
※UBERSPOONに関してさらに詳しくは、当サイトの去年のレポートをどうぞ。ユウジの感想も記載されています。この板最高ですよ!
ユウジが乗るボードを選ぶ基準は??
実は何でもいいんですよー(笑)
ユウジが板を選ぶ基準は、かっこよさや各モデルの機能ももちろんあるけれど、おおむね「何でもいい」とのこと。ビンディングやブーツにいたっては「メーカーの人に丸投げ(笑)」することもあるそうだ。さすがですね。要するに、「何でも乗れちゃう」わけですね!
では逆に「今までどんな板に乗ってきたの?」と聞くと、真っ先に名前を挙げたのが、「BLACKLIGHT」という、知る人ぞ知るNITROの名作ボード。
BLACKLIGHTはフレックスにものすごくハリのある、ノーマルキャンバーのディレクショナルボード。実は管理人も、数年前にこのモデルを乗りましたが、ジャンプもターンも、反発力がすごくて、難しいけど、最高に乗り応えのある板でした。
怪我してから視野が広がった
何でもいいと言いつつもユウジは、数年前までは
「キャンバー以外の板に乗るなんてあり得ない」と思っていたんだそう。
高いジャンプの軌道から、誰もがうらやむスタイルでトリックを繰り出すユウジ。そんなアグレッシブな滑りを受け止められる、最も頼りになる板がBLACKLIGHTだったのでしょう。
「怪我してからは、踏める板よりも楽な板、頼れる板よりも遊べる板を選ぶようになった」と続けるユウジ。
今まで見向きもしなかったキャンバー以外のボードにも関心を持つようになり、乗ってみると案外調子よくて、以来さまざまなボードを試すようになったそう。
最後に
「本当は「TEAM(キャンバー)」が一番調子いいと思った。
だけどソール見ると「TEAM」って書いてあって、「NITRO」って書いてなくて、だから辞めました。
「NITRO」って書いてある板に乗りたいから。」
さすが長年NITROに乗り続けてきた日本の看板ライダー。ボードを選ぶ基準も、選ばない基準も、実にユウジらしさが溢れててカッコいいなーと思いました(笑)
鈴木裕司(すずきゆうじ)
1984年1月28日生まれ
新潟県南魚沼市出身
身長169cm 体重65kg
レギュラースタンス スタンス幅56cm 前18°後ろ-9°
sponsor:NITRO,RAIDEN,L1,DRAGON,DEFCON,
C1RCA,FANINARI,00PROJECT,SPACECLAFT
【プロライダーの板選び】①原田マサオミ(head) /②堂前和也(nitro)/④清原勇太(capita)/⑤南谷孝太郎(capita)/⑥渡辺大介(moss)/⑦天海洋(k2)
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